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引張試験の工夫(湿潤状態での試験など) [05 試験方法・評価]

引張試験の工夫(湿潤状態での試験など)


 ビニール袋に試料を入れた状態で、引張試験をしたことがあります。濡れた状態で試験をしたい場合に、この方法を用いました。


 一方、JISでは、この方法を使っていません。試料を濡らした状態(湿潤状態)で行う引張試験としては、JISL10962010 8.14.1 引張強さ伸び率試験 JIS法 として、A法、B法、C法、D法が存在します。


ストリップ法で、標準状態時(湿潤していない)の試験がA法、湿潤状態時の試験がC法です。


また、グラブ法で、標準状態時(湿潤していない)の試験がB法、湿潤状態時の試験がD法です。


湿潤の方法は、C法、D法、共通で、「試験片を1時間以上水中に沈めておく。水から出し、1分以内に測定」となっています。水としか書いていませんが、時には、蒸留水やイオン交換水を使っています。


このJIS法では、破断時に水が飛び散ることがあり、前述のビニール袋を用いた方法が適していると思います。


JIS法では、試験後、チャックでは金属部分を取り外し、水で洗浄、よく拭いて、油を吹き付けて乾燥させます。試験機の周辺では、キムワイフ等で拭き取ります。これらを怠ると錆びる危険があります。


どうしても、JIS法にこだわりたい場合は、「JISを参考」として、水分をキムワイフなどで拭き取り、水が飛び散るのを抑える方法が現実的かもしれません。


 また、破断時に細かい粉体が飛び出す試料にもこの方法は有効です。例えば、試料がフィルターなどで、細かな物質が吸着されている場合や、試料が伝導性をもち、破断時に細かく割れてしまう場合などです。特に伝導性の細かい試料が飛び散ると、電子機器ではショートが起きる可能性があります。(例:炭素繊維


試験機のそばに掃除機を置いて、試験中から作動させる方法もいいですが、飛び散る物質の大きさによっては、排気からでてしまい、撒き散らしている結果になってしまいます。


 引張試験は、基本的な試験ですが、試料によっては、様々な工夫が必要な試験です。


 


補足:


1)広い意味での「湿潤試験」は、水だけでなく、薄い酸やアルカリ溶液に浸漬を含むこともあります。


2)試料を水に浸漬して引張試験ができる様にするオプションもあります。



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