毛羽の脱落試験について [05 試験方法・評価]
毛羽の脱落試験について
パイル生地や起毛(別珍やコール天)やフロック加工を行った生地や、糸では、モール糸、甘撚りの紡績糸などを使用した生地などでは、毛羽の脱落がクレームになることがあります。
これらの評価方法としては、以下の方法があります。
1)QTECセロハンテープ法 (QTECの読みは「キューテック」)
概要:セロハンテープを生地につけておもりを乗せる。所定時間後、はがし、テープにどのくらいの毛羽がつくかを比較。
おもりや毛羽付着試験判定用スケールはQTECで販売しています。
試験方法や基準について、詳しくはここ
2)パイル保持率JIS L 1075 C法
概要:摩耗試験Ⅱ型(学振型)に生地を置く、摩擦試験の時に使用する白布の代わりに、耐水研磨紙として、摩擦する。摩擦後、生地が削れているので、残った質量を測定し、次式から「パイル保持率」を計算します。
パイル保持率=[試験後に試験片aを試験片bの大きさに切り取ったもののパイルの残留質量(g)]/[試験片bのバイル質量(g)]×100
試験片a:比較のための元の生地。切り出し後、試験片bと同じ大きさに切りそろえる
試験片b:実際に試験を行う試料片
条件(研磨紙が粗すぎるか、回数が多い場合)によっては、パイル以外の基布も紙やすりが削り取ってしまう場合もあります。この場合、正確な意味で、「パイルの保持率」ではなくなるので、条件を変えたほうがいいと思います。
基準値:試験条件 摩擦回数 :500回、耐水研磨紙 :P800C―Cwで、パイル保持率60%以上
3)タオルの洗濯による脱綿率試験方法(TRI 法)
概要:タオル1枚を洗濯し、排水箇所にフィルターを置き、それがとらえた毛羽の量を測定する。
洗濯は、全自動洗濯機を標準コースで使用。フィルターは、150μm メッシュを用いて脱落物(=脱綿量)を回収する。
脱綿率の算出:標準状態における試料質量(g)と脱綿量(g)を秤量し、次式から「洗濯による脱綿率」を算出する。
脱綿率(%)=(脱綿量/試料質量)×100
4)外観変化
既存の試験機で試験をおこない外観を観察、再現試験の一種とみなします。人でなく、試験機を使用する理由は、摩擦する動作が一定になることです。
生地と摩擦布
試験機としては、以下の試験機が多く使われます。
TO形ピリング試験機(試験布と羽根を摩擦)
http://www.daieikagakuseiki.co.jp/products/product.php?item_no=71&selected_category_no=7
ICI形ピリング試験機(試験布と試験布を摩擦)
https://www.ipros.jp/product/detail/243917143/
マーチンデール磨耗試験機(試験布と摩擦布を摩擦)
http://www.intec-instruments.co.jp/doc/ar-4.pdf
5)指でなぞる
原始的だが、商品を指でなぞり、毛羽が落ちないか確認する。
その他、生地と別の生地が擦れて、毛羽が脱落する場合がある。この場合、どちらかの生地、または両方の生地から毛羽が脱落している。毛羽立ちが多そうでも、毛羽が脱落していない生地もある。脱落した毛羽を顕微鏡で観察し、色・素材を観察し、どちらの生地が原因になっているかの確認も必要である。
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